本:残酷な王と悲しみの王妃

表紙にはベラスケスの有名な絵「ラス・メニーナス」、ここに描かれたスペイン・ハプスブルグ家ほか、5つの宮廷の物語。高貴な血統を表す[blue blood]、青い血という言葉の由来は、こういうことだったのか。ぞぞっとする光景が想像されます。

お世継ぎがいるかどうかで、世界地図が変わってしまう時代、血を繋ぐための政略結婚が繰り返される中、教科書には出てこないけど、歴史の流れに大きく関わったプリンセスたちのエピソードがつづられてます。

本に載っている家系図を見てますと、婚姻によって、欧州の王家はみんな親戚関係にある様子。島国日本にいるせいか、他国の人がやってきて王になる、というのはピンとこないですけど。異国のプリンス、プリンセスがやってくれば、当然かの国の風習も持ち込まれたでしょうし、言葉や宗教の壁を乗り越える必要もあったでしょうし。いろんなことがミックスされてきたんでしょうね。こんな古くから、ヨーロッパはひとつながりなんだな。

そして、この本を貫くのは「メメント・モリ」。現代なら軽いと思われる病気でも命取りになり、戦争や反乱も多く、処刑や暗殺さえ頻繁では、王家の子どもさえ、生き延びるのは大変なことで、死はあまりにも身近。過酷な運命の波をかいくぐって繋がれてきた命が、今にあるんだなぁと思うと、しみじみした気持ちになりました。