オトナの片思い

学生の頃とかは、「告白して気まずくなるくらいなら、友達でいるほうがいい」なんて言うけれども、玉砕されて泣きつくしたほうが、むしろサッパリできるんじゃないかなって、今は思うね。

オトナになると、気持ちを伝えるなんて、とてもできない立場ってものがあるんだなぁ。初めっから終わってる恋というか。

どうしようもない想いは、行き場もなく、いつまでもくすぶって、フェイドアウトを願うのに、その人の声、匂い、なんかの拍子にまた胸が締め付けられるような波が来て…

この本は短編集、そんなウエットな話じゃないけど、切なさを超えて、ある種のあきらめも覚えたときに、片思いの良さを味わえるのかなって。